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現代語訳
倭漢斗藪沙門賜紫阿闍梨傳燈大法師位榮西
敬白十方三世佛法僧寶併護法聖者而言
夫佛法東流自漢至宋千有餘歳摩騰竺蘭蹈雪山法顯羅什渉沙河眞諦覺賢催赤縣無畏不空歴紫塞各各挑將滅之法燈數數續既絶之慧命又嵩山航葦南溟南嶽誕生梁代恭弘鷲峰之舊聞明傳鶏嶺之法眼又天台□五品智解南山圓四分甘露玄奘遍學熟蘇都會義淨補綴律藏墜文爰唐則天皇后號中興大王義淨三藏立其名是美其實也譽其德是全其益也亦復我上國日本百濟日羅將來彌勒石像上宮太子取衡山妙經道璿鑑眞超蒼海傳教弘法届中華競傳深法爭弘顯密自爾以來六百餘載三國傳燈之餘光日域殊明九宗習學之規式東扶强茂矣然而求法渡海絶而三百餘年遣唐使停又二百餘年非啻故實之漸訛謬亦復墜文永不傳乎
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倭漢斗藪の沙門1、賜紫の阿闍梨2、伝灯大法師位3栄西
敬って十方三世仏法僧宝併びに護法の聖者に白して言さく
夫れ仏法東流、漢より宋に至って千有餘歳。摩騰4・竺蘭5、雪山を蹈み、法顕6・羅什7、沙河を渉る。真諦8・覚賢9、赤縣に催し、無畏10・不空11、紫塞を歴る。各各、まさに滅せんとするの法燈を挑げ、数数、既絶の慧命を続ぐ。
また嵩山12、南溟に航葦し、南嶽13、梁代に誕生す。恭しく鷲峰14の旧聞を弘め、明かに鶏嶺15の法眼を伝う。また天台16は五品の智解を□17、南山18は、四分の甘露を円かにす。玄奘19は遍く熟蘇の都会20を学し、義浄21は律蔵の墜文を補綴す。爰に唐の則天皇后22、中興大王義浄三蔵と号す。其の名を立てるは、是れ其の実を美むるなり。其の徳を誉むるは、是れ其の益を全うするなり。
また我が上国日本、百済の日羅23、彌勒の石像を将来し、上宮太子24、衡山の妙経を取って、道璿25・鑑真26、蒼海を超え、伝教27・弘法28、中華に届る。競って深法を伝え、争って顕密を弘む。
爾れより以来六百余載、三国伝灯の余光、日域殊に明らかなり。九宗29習学の規式、東扶に強茂す。
然れども求法の渡海30、絶えて三百余年。遣唐使31、停まることまた二百余年。啻だ故実の漸く訛謬するのみに非ず。また墜文32永く伝わらざらんか。
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倭漢斗藪の沙門、賜紫の阿闍梨、伝灯大法師位 栄西
敬って十方三世仏法僧宝併びに護法の聖者に申し奉る
そもそも仏法がインドより支那に伝わり、漢代より宋代に至って千有余年。迦葉摩騰と竺法蘭とは雪山〈ヒマラヤ山脈〉を越え、法顕と鳩摩羅什とは沙河を渉って支那に至られた。真諦と覚賢とは、赤県〈支那の都の異称〉に催し、善無畏と不空とは、紫塞〈万里の長城〉を歴て支那に来られた。その各々が、まさに滅びゆかんとする法灯をひっさげて、様々に既に絶えたかにも思えた智慧の命脈〈仏法〉を伝えられたのである。
また崇山〈菩提達磨〉は(天竺より)南溟〈南海・東南アジア〉を船で渡って来られ、南嶽〈慧思〉は梁代の支那で誕生されたのであった。(慧思は)恭しく鷲峰山での(釈迦牟尼の『法華経』の説法の)伝承を弘め、(菩提達磨は)明らかに鶏嶺〈摩訶迦葉尊者〉の正法眼蔵を伝えられたのである。また天台大師〈智顗〉は五品の智解を示し、南山大師〈道宣〉は、『四分律』という甘露を悉く詳説された。玄奘は遍く熟蘇の都会〈『大般若経』〉を学ばれ、義浄は律蔵の墜文を補完された。ここに唐の則天武后は、(義浄をして)中興大王義浄三蔵と称されたのであった。その名が立てられるのは、その実を称賛してのことである。そして、その徳を誉めることは、その益を全うすることでもある。
また、我が上国日本においては、百済僧の日羅によって彌勒菩薩の石像が将来され、上宮太子〈聖徳太子〉は(支那)衡山に秘していた『妙法蓮華経』をもたらされ、道璿・鑑真は蒼海を超えて日本に来訪された。伝教大師〈最澄〉と弘法大師〈空海〉とは、(いまだ日本に伝わって無き、新たな法を求めて)中華に渡ったのであった。そして競って甚深なる仏法を伝え、争って顕教・密教を弘めたのである。
それ以来六百有余年の年月が過ぎたが、三国伝来の法灯の余光は、日本において殊に明らかである。(倶舎宗・成実宗・律宗・法相宗・三論宗・華厳宗・天台宗・真言宗、そして禅宗の)九宗を修学する規式は、この東扶〈日本〉において定着し繁栄しているのであった。
しかしながら、仏法を求めて渡海する僧侶が絶えること三百年余り。遣唐使が停止されてからもまた二百年余り〈三百年余りの誤植・誤記であろう〉。それが意味することは、ただ(仏陀ご在世の)故実〈教えと戒律〉が次第に訛謬してきただけではなく、墜文が永く伝わらなかったことでもあろう。
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現代語訳 脚注:非人沙門覺應
horakuji@gmail.com
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